穏やかな風が吹いている日は天国だが、ひとたび低気圧が入ると、おいそれと大窓は開けられない敷地でもある。
土地コンサルティング業務委託契約をいただいて、約6ヶ月後に見つけた“あこがれの海見え物件”である。この先駆的な土地コンサルタント業務は、このプロジェクトで27件目となる。
この業務の特色は、土地の特色を設計者が解読し適切な価格を割り出すこと(目利き)で、いわゆる“高値買い”を未然に防ぎ、お客さまが希望する住宅地に予算上無理のない住宅を供給するシステムである。単に土地建物の総コストをトータルコーディネイトするだけでなく、長年にわたり培ったネットワークと地場不動産市況に精通して初めて成り立つ事業でもある。
北西角地、道路面に対して+0.7(東)から2.5メートル(西)高いことを利用して、半地下のガレージを北側道路側に配置し、このガレージの階高を押さえたスキップフロアの断面計画で設計が進められた。現在は1階からでも相模湾が望めるが、南側が賃貸駐車場のため、将来住宅が建設される可能性を加味して、2階をパブリック空間とした。
こだわりと言うより、チャレンジとして全く新しい外壁材を使用した。材質は国内木材の有効活用(地産地消)をフルに活用した、信州カラ松である。その断面形状は2種類の材料からなるが、仕上がりは1種類しか見えない納まりとしている。その2種類を加工することにより、製材加工生産率も25〜35%も向上し、有効資源の活用とコストダウンに寄与している。また天然木の持性(木表、木裏+ラフソーン)を利用した加工等を施した建材として、現在デザイン特許出願中である。
また内装天井にもカラ松パネリング材を利用することで、全国森林組合から助成金をいただいた住宅でもある。
スキップフロアによるリズミカルな空間構成と、絶えず風が通り抜ける“抜け感”をデザインのキーワードとした。1階寝室にも一年を通して適当な明るさを確保することで生まれた2階のデッキは、結果としてあの映画のワンシーンのようなデザインとなった。